「ほしい未来」は自分の手でつくる 読後感想
ウェブマガジン「グリーンズ」の発行人、鈴木菜央氏の書。
自分より一回りも若い方ですが、失敗談を含め、とてもしっかりした生き方をされている人だと感じました。「ソーシャルデザインの考え方」も彼の実践を通じて獲得したもので、とても参考になります。
この本の構成
第1章 矛盾のない「仕事」と「働き方」をつくる
ー迷ったら「なんのために働くのか?」に立ち戻る
第2章 人生を損なわない「暮らし」をつくる
ー都会で働き、田舎に暮らす
第3章 「自分ごと」が「自分たちごと」をつくる
ーソーシャルデザインのはじめ方と広げ方
第4章 「ほしい人生」は、自分の手でつくる
ー自分の心と直感に従う勇気を持つ
◯事業を成り立たせる仕組み 〜寄付会員制度「greenz people」
・特典は「会員限定メルマガ」、「green Books」(年2回)
・アメリカの農業経営「Community Suppored Agriculture(CSA)」からヒントを得た。CSAとはコミュニティの住民が有機農法による作物に対し1年間の会費を前払いする仕組み。
・関わり合う人たちの「対話」と「信頼」にもとづいて、「情報」という作物を媒介として(オープンな)コミュニティを活性化していく。
◯暮らしをつくる「DIY」の精神
・自分でつくるからいろんなことが見えてくるし、見えてくるから、自分で考えて自分の暮らしを変えていくことができる。
・DIYとは、暮らしを「見える化」して、自分の暮らしを自分の手に「取り戻す」こと。
・DIYの本質は「楽しさ」。
◯ソーシャルデザインで重要な8つの考え方
1.まず、「自分ごと」からはじめる
・「もっとこうなったらいいのに」が「自分ごと」。
・社会は変えようと思っても変わらないもの。
・自分と自分のまわりに、新しい現実をつくって楽しむ。
・まわりの人たちが勝手に広げたくなるような状況をつくる。
2.人間の行動を変える「楽しさ」という力を活かす
・「The Fun Theory(楽しい理論)」“正しさ”を“楽しさ”に変換して、多くの人を巻き込んでいく。
3.小さくはじめる
・自分がやるべきことを徹底的に絞り込み、自分がコントロールできることだけに集中する。
・「自分たちごと」は「自分ごと」からしか生まれない。
4.淡々と続く仕組みをつくる
・努力がなくても成立するように、活動を仕組み化する。
5.お客さんを、「参加者」にする
・みんなが求めているのは、「関わり」であり、「学び」のチャンス。だから相手を「お客さん」にしないことが重要。
・イベントは「オープンソース」で。例:「the Green Drinks Code」(http://greendrinks.jp/what_is_gd/)、「せんきょCAMP」
6.「弱いリーダーシップ」を発揮する
・「きっかけ」づくり。
・各人の自発性や個性を活かして、みんなが活躍できる「場」をつくる。
7.ビジョンを共有する
・ビジョンとは「視覚的な風景」。右脳で感じられるような、映像。
・モチベーション3・0 →活動の「目的」を共有し、それぞれの「自律性」に委ねて「マスタリー(熟達)」、つまり成長できるように活動を組み立てる。メンバーを信頼し、コントロールを明け渡す。「対話」を重ね、相手を深く理解することも必要。
8.活動を生態系化する
・「ピラミッド型社会」⇔「生態系型社会」
・チームや組織も生態系としてとらえる。
・「マネジメント」から「ムーブメント」へ
・やるべきことは「未来可能性」の最大化
(感想)
効率化が進む社会で、本当にこれが「ほしい生活」なのか。著者は東北大震災を機に生き方の大転換をしました。これは心の中で求めていた変化だったので、それ以後の活動はめざましいものがあります。
環境への思いは自分の中にも共通するものがあり、彼のつくる「ムーブメント」に部分的には載せてもらおうと考えています。
(おわり)