エコ生活日誌

「未来可能性」の最大化 〜実践と思考の日々

ごみゼロ宣言のまち・上勝町を訪問 〜その②町の取り組み

本題の「ごみゼロ」です。

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「ゼロ・ウェイスト」とは「無駄、浪費、ごみをなくす」という意味。物の無駄遣いをせず、リサイクル、リユースを進め、生産段階から処理に困らない製品をつくることで焼却・埋め立て処理される有害ごみをなくしていこうという理念です。

海外ではオーストラリアのキャンベラ市(1996年に世界で初めてゼロ・ウェイストを宣言)、アメリカのカリフォルニア州各市、ニュージーランドの70%以上の自治体など100以上の地域が、ごみ処理政策にゼロ・ウェイストの目標年を定めて採用しています。

上勝町は2003年(平成15年)に、2020年を目標としたゼロ・ウェイスト宣言を日本で初めて行いました。上勝町では以下のような動画を作成し、広報に努めています。

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先日の10月12日(水)、「日比ヶ谷ゴミステーション」の取材と「特定非営利活動法人ゼロ・ウェイストアカデミー」の事務局長 東輝美さんへのヒアリングを行いました。

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東さんは上勝町へUターンし、町おこしに取り組む女性。夫と共に子育てとカフェ「polestar」の経営、そしてこのNPOの運営にも携わっています。彼女の生い立ちや活躍は下の動画で紹介されています。

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上勝町のごみ減量化の経緯

上勝町では平成5年(1993年)の「ごみの排出量調査」結果からごみの3割(重量比)が生ごみであることが分り、生ごみは他のごみに比べ水分量が多く、高温での焼却が必要なため、コンポスト等での生ごみ堆肥化の道を探ることとなりました。

平成9年(1997年)からの容器包装リサイクル法段階的施行により、対象品の分別をスタートしました。当初は9分別、平成14年(2002年)からは34分別を行っています。

焼却ごみについては、平成10年(1998年)に小型焼却炉2基を設置するまでは大量のごみを野焼きしていましたが、この焼却炉も1基が平成11年(1999年)施行の「ダイオキシン類対策特別措置法」の基準に適合せず閉鎖。町長は2基とも閉鎖することを決めてこれまで以上にリサイクルを推進して焼却ごみを減らすことにしました。

上勝町のごみ対策は先進的な取り組みとして次第に全国に紹介され、多くの視察が訪れるようになりました。2003年のある日、アメリカのセントローレンス大学の教授が視察に来た折に、自身が提唱する「ゼロ・ウェイスト」という考え方を町内で公演していただく機会がありました。上勝町の人々は教授の「ゼロ・ウェイスト」を目指す姿に共鳴。運動を展開しようと、2003年上勝町議会が満場一致で「ゼロ・ウェイスト宣言」を承認しました。

 

○ごみ減量の概要

①生ごみの自家処理を義務付け

コンポストの購入補助は平成3年(1991年)から行なっていますが、調査により、広葉樹の一般微生物を利用した電動生ごみ処理機を開発しているメーカーが見つかったため、開発モニターとなることで協力関係を結ぶことになり、平成7年(1995年)からこの電動生ごみ処理機を1万円の自己負担(価格は5万円なので4万円が町の補助)で購入できるようになりました。(指定機種:光工業 ゴミイージー)

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電動生ごみ処理機の展示

町の世帯の約8割はこの電動生ごみ処理機を使用しており、他の方式と合わせるとコンポストは約98%の普及率。生ごみのリサイクル率はほぼ100%となっています。

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NPOの事務所前には「キエーロ」も展示されていました。

 

②ごみの34分別

生ごみ以外のごみは家庭において洗浄した後、「日比ヶ谷ゴミステーション」に各自が持ち込み、分別します。年末年始を除き毎日7時半から14時まで受け入れを行っており、都合のいい時に持ち込むことができます。なお、自分でごみを持ち込めない世帯(あらかじめ役場にて認定)は運搬支援事業として戸別収集(奇数月に収集、有料)をしています。

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生ごみがなく、また容器類はあらかじめ洗浄されているので施設内は無臭です。

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分別ごとに「何に変わるのか」、売り払い金額も掲示してあるので「ごみの持ち込みがい」があるというものです。

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 どうしても焼却せざるを得ないごみもあります。処理費用としてマイナス金額を表示(看板右上に「焼却ゴミ ー54円/kg」)。

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上勝町のリサイクル率は現在79%。国内平均が20%程度だそうなので飛び抜けた数字です。2020年の目標年度に向けて、「布おむつの推進」や飲食店の「ごみゼロ活動」認証制度設計に取り組んでいるとのことでした。

 

(その3へつづく)